堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 助けてください、という視線をジルベルトに向けてみたところ。
「膝下十五センチ」
 そう言い捨てると、ジルベルトはくるりと向きをかえて、その部屋を出て行った。
 微妙な助け船だった。
 だけどこのときのジルベルトが、顔中を赤く染めて、さらに耳まで染めていたことにエレオノーラは気付いていない。ジルベルトはその一言をいうことだけで精一杯だったのだ。

「まったく。本当に頭が硬いんだから」
 という義母の呟きは聞かなかったことにしよう。
 結局エレオノーラの制服のスカートの丈は膝下十五センチに決まった。

「まあ、可愛いわね」
 と言う義母の声でエレオノーラは我に返った。

「こんな感じでいかがでしょう?」
 と言うパメラ。
 パメラの言うこんな感じがわからない。姿見で確認すると、見事にツインテールにされていた。しかも几帳面に赤いリボンが二つ揺れている。

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