堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

　穴があったら入りたい、隠れたいと思っているエレオノーラは、流れてもいない汗が額から流れていくような感じがした。

「どう？　かわいいでしょ？」
　義母がエレオノーラの背中をずずっと押したため、制服を着たツインテール姿のエレオノーラが、ジルベルトの前に現れてしまった。

「え、エレン、なのか？」
　疑問形、そこで疑問形で尋ねるジルベルト。
　そうですよね。これでは一介の騎士には見えませんよね。というエレオノーラの心の声は、助けてと叫んでいる。
　ところが、みるみるとジルベルトの顔が赤く染まっていく。それを誤魔化すように、彼はゴホンと咳払いをすると。
「けしからん」
　と言って、エレオノーラをいきなり横抱きにして、部屋をダッシュで出ていった。

「ジル。そのままエレンを襲ったら犯罪ですからね」
　というわけのわからない義母の声が背中から届いてきた。
　そのままジルベルトによってエレオノーラは寝室に連れ込まれ、ベッドに押し倒された。
　犯罪、という二文字が彼女の脳裏にちらりと浮かんだ。だが、夫婦なので問題は無い、はず。