堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 今日はジルベルトの圧に負けないぞと思って、しっかりと宣言をした。
「それからジル様。なんと、宿題をやらなければならないのです。びっくりですよね?」
 私はやることがあるから忙しいのです、というアピールも忘れてはならない。そうしなければジルベルトの思う壺なのだから。

「まあ、学院に通っているならそうなるな」

「ジル様も宿題をやっていたのですか?」

「まあ、やっていたなぁ」
 少し遠い目をする。懐かしんでいるのだろうか。だけど、ジルベルトにあの学院の制服は似合わない。それとも十数年前くらいまでは似合うような体格だったのだろうか。

「というわけで、私は着替えて宿題を終わらせます。それまで待っていてください」
 何を待てと言っているのか自分でもわからないが、とりあえずエレオノーラは逃げた。
 着替えをして宿題をする。宿題、というのもエレオノーラにとっては初めての体験だ。授業以外の時間で課題をこなすらしい。そうやって学んだことの定着をはかるらしい。
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