堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 やはり、どこか懐かしそうな表情を浮かべる。だけど、エレオノーラには彼の制服姿が想像できない。

「新聞部ってありましたか?」

「新聞部か。確か、学院新聞とかそんなものを作っているところだったと記憶しているが」

「まさしくそうです」
 エレオノーラは一度立ち上がり、ドロシーたちからもらった学院新聞をテーブルの上に広げた。ジルベルトはそれを一枚手に取った。

「私が学院にいた頃とはずいぶん変わってしまったようだが……。これは、フレディ殿か?」

「そうなんです。フレッドお兄さまったら、いつの間にか学院の教師になっていたんです」
 ぶーっとエレオノーラは頬をふくらませ、唇を尖らせた。その言い方は、自分は生徒にも関わらず、兄は教師であるということに対する不満の表れ。

「まあ、騎士団の方から学院の方に教えに行くというのは昔からあることだが」

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