堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「どうかしましたか?」

「いや」

「だって。私が学院に潜入しているのは、こうやって優秀な人材を見つけるためなんですよ。聞きましたか? 今年の卒業生のうち、騎士団入団は四人だけだって」

「ああ、聞いている。さらに言うと、女性はいない」
 もちろん第一騎士団の団長を務めているジルベルトにはそのような人事の話が届いてくる。今年の学院の卒業生からは騎士団入団希望者は四人だけ、全員男性である、ということ。そこで、彼らをどの団に配属させるか、ということも彼の仕事の一つになっている。
 他の団の団長と、入団希望者の書類を見ながら、ああでもないこうでもないと言い合う日々が続いている。なかなかあの四人の配属先が決まらない。貴重な希望者だから、彼らの希望を聞き入れて上げたいという思いはあるのだが、現状の騎士団では彼らの希望を受け入れるのは難しい状況でもある。それが、各団長の頭を悩まさているのだ。

「え。いないんですか? 私に可愛い後輩とかできないんですか?」
 またエレオノーラは女性騎士では最年少になってしまうのか。ちょっと先輩風を吹かせてみたかった。という思いがあった。

「なぜか、騎士団が嫌煙されるようになっているな。文官の方が人気らしい」
 騎士団の方が泥臭いイメージがあるのだろうか。

「困りますよね?」

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