堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「入部については、まだ検討段階ってことでいいかな?」
 やはりこのクリスという人物は、人をまとめ、人を惹きつける力がある。
 エレオノーラは「はい」頷いた。

「返事は急がなくていいから、滞在先の人とも相談してみて。でも、前向きな返事を待ってる。今日は、どうぞゆっくり見学していって」

「はい」
 もう一度、クリスに向かって返事をすると、ジェイミが腕を組んでエレオノーラを威圧的に睨んできた。
 ちょっとこの子、怖いかもと思うエレオノーラ。自分の方が年上なのに、年上の威厳もへったくれも何も無い、とちょっとがっかりするしかなかった。

「ところでエレンさん。エレンさんの滞在先ってどちらなの?」
 そうキャシーが尋ねてきたのは、ただの興味本位だろう。留学生を受け入れたところがどこなのか、ということを知りたいだけ。

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