堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 ええ、とエレオノーラは頷く。「フレッドお兄さまの授業は受けておりませんので」

「可哀そうなフレッド。学院でお前のことを見かけるたびに、家で嬉しそうに話をしてくれているのに。フレッドの一方的な片思いか。そういえば、エレン、演劇部に入ったんだって?」

「え、それもフレッドお兄さま情報ですか?」

「そうだ」

「私の学院生活だだ洩れじゃないですか」
 そこでエレオノーラは両手で顔を覆った。あの制服を着て、なぜかツインテールに赤いリボンという恰好で学院に通っているという事実だけでも恥ずかしいというのに。
「あ、そうだ」
 エレオノーラは、そこで思い出したかのように顔を上げる。

「相変わらず切り替えが早いな」

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