堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 そう、このアレックス。生徒会長でありながらの超問題児。いや、悪い意味での問題児ではない、いい意味での。
 だが、それによって被害を被っているのがハリーである。アレックスがまき散らした問題を、片っ端から片付けていく。

「あ、そうだ。ドロシー。今、エレンさんとすれ違ったけど、もしかして会長のセクハラの相手って彼女?」

「そう、そうなのよ。イアン、ちょっと聞いてよ」
 ずかずかとイアンの方に回り込んで、彼女は身を乗り出してきた。それを拒絶するかのようにイアンは顔の前に両手を出した。

「うん、わかった、わかったから。君の話は聞いてあげるから、まずは落ち着こう。ほら、お茶でも飲んで。僕が準備するからさ」
 イアンは苦笑を浮かべながら、てきぱきと人数分のお茶を淹れなおした。ドロシーは膨れながら、しぶしぶとソファに座る。

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