堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「もし、当時の服装について調べたいのならこの辺の本をおすすめいたします。それから、人々の生活内容でしたら、こちらです」

 サリーに薦められた本を、積んでいく。

「あ、エレンさん。貸し出しは一人三冊までなのです」

「そうですか、でしたら」
 エレオノーラはサリー推薦図書を三冊に絞った。当時の服装、人々の生活内容、そして時代背景の三冊。

「では、貸出手続きについて教えますね」

 サリーは柔らかい笑みとえくぼを浮かべてエレオノーラをカウンターに案内した。

「こちらのカードに名前と今日の日付を書いてください」
 本の背表紙を開くと、何やらカードが挟んであった。それをサリーが取り出してエレオノーラに手渡した。そのカードに彼女はエレンという名を書いた。

< 465 / 528 >

この作品をシェア

pagetop