堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
静かに幕が上がった。すると部隊の中央には、白いドレスを身に着けた女性、いや女性役だから中身は男子生徒が、しおらしく立っていた。舞台とこちらの座席ではそれなりに距離はあるが、女性にしか見えない。
え、と言う疑問形の声と、キャー、クリスさまーという黄色いファンの声が上がった。学院の卒業公演だから、見る側も演劇の邪魔にならない限り、言動は自由だ。
ダニエルはその少女ではなく男子生徒をじっと見つめていた。彼はエレオノーラが諜報部にと推してきた男子生徒だ。腕を組み、難しい表情を浮かべていると、隣のジルベルトが不思議そうに彼に視線を向けた。彼はセリフを少し高い声で発していた。これも、なかなかの技術。エレオノーラが推すだけのことはある。
下手の方から、一人の男性が現れた。男性、つまり中身は女子生徒のはずなのだが、どこからどう見ても男性。この男性を見て、フランシア三兄弟は気付いた。間違いなく、これはエレオノーラである、と。
ここでも、キャー、エレンさまーという黄色い声が上がった。いつの間にかファンがついていた。
「あれが留学生か?」
アレックスは隣のハリーに尋ねた。
「そうだな。彼女はクリスと共に主役を務めているはずだからな」
え、と言う疑問形の声と、キャー、クリスさまーという黄色いファンの声が上がった。学院の卒業公演だから、見る側も演劇の邪魔にならない限り、言動は自由だ。
ダニエルはその少女ではなく男子生徒をじっと見つめていた。彼はエレオノーラが諜報部にと推してきた男子生徒だ。腕を組み、難しい表情を浮かべていると、隣のジルベルトが不思議そうに彼に視線を向けた。彼はセリフを少し高い声で発していた。これも、なかなかの技術。エレオノーラが推すだけのことはある。
下手の方から、一人の男性が現れた。男性、つまり中身は女子生徒のはずなのだが、どこからどう見ても男性。この男性を見て、フランシア三兄弟は気付いた。間違いなく、これはエレオノーラである、と。
ここでも、キャー、エレンさまーという黄色い声が上がった。いつの間にかファンがついていた。
「あれが留学生か?」
アレックスは隣のハリーに尋ねた。
「そうだな。彼女はクリスと共に主役を務めているはずだからな」