堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「まあ、私だな。その辺はバーデールとも口裏合わせてあるから、ボロが出ることはない」
 やっぱり犯人はダニエルだったか、とエレオノーラは思ったものの、まさかのバーデールもグルであったという事実を突きつけられる。バーデールを巻き込んでまでの騎士団勧誘、いや青田刈とは、なかなか壮大なプロジェクトである。

 エレオノーラは少し顔を歪めてから。
「脅迫状はこちらでした」
 もう一枚の紙をテーブルの上に置いた。再び、ショーンとダニエルが頭を突き出してきた。
 リンドレー公爵家とノアイユ侯爵家の縁談を良く思っていない、ということがよくわかる内容。狙われているのはベルニス・ノアイユ。
『婚約解消をしろ、しないなら恐ろしい目に合わせる』と。
 できることなら、もう少し具体的にどんな恐ろしい目に合わせるのかということも書いていただきたいものだ。

「内容はわかりやすくて良いのだが、なぜこのノアイユ家の御令嬢が狙われる?」
 ショーンは首を傾げた。

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