堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「基本的に、ベルニスさんはご自宅と学院の往復しかされていないそうです。そちらには必ず誰かが一緒だから問題ないそうなのですが、今回の卒業パーティは外部の人たちも学院生の身内であれば誰でも参加できますので、それが一番危ないとお考えのようです」

「まあ、卒業パーティといったら、定番だしな」
 ダニエルが呟いたので、何の? とエレオノーラは思わず言ってしまった。それに対する答えはなかった。

「身代金」
 その声はフレディだった。
「ベルニス嬢を誘拐して身代金を要求するのが、一番手っ取り早い。何も、このような婚約解消の脅迫状をわざわざ出さなくとも」

「フレッドお兄さま?」

「まあ、犯人の狙いは間違いなくノアイユ家の金だろう。リンドレー公爵家がベルニス嬢との婚約解消をしたところで、他の公爵家へのうま味はない。となると、ベルニス嬢を欲しがっている他の誰かがいる。もしくは、リンドレー公爵家の中でベルニス嬢にきてもらっては困る人がいる」
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