堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

「リガウン侯爵だからだ」
　ショーンがちょっと笑いながらジルベルトを見た。これまた説明になっていない説明。

「ああ、エレン。大事なことを忘れていた」

「はい、なんでしょう？　ダンお兄さま」

「今回は、ドレスの下に騎士服を仕込むなよ？　それから、派手に第零騎士団を名乗るな。　むしろ、第零騎士団を名乗ってはならない。バーデールのエレンを演じ続けろ」

「なぜですか？」

「バーデールのエレンと第零のレオンが同一人物であることを、学院の生徒たちにばらしてはならないからだ。お前の任務は騎士団の勧誘だ。それを忘れるな」
　どうやら今回も、エレオノーラがせっかく考えたセリフとポーズのお披露目はないらしい。