堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
8.話し合われていました
さて、ジルベルトがフランシア子爵家を訪ねる二日前の夜。ジルベルト本人が、リガウン侯爵家より呼び出しがかかった。呼び出された先はリガウン侯爵夫人、つまりジルベルトの母。呼び出した相手があの母であることからして、嫌な予感しかしないジルベルト。できることなら、自宅であるのに行きたくないとさえ思ってしまうほど。
その母親が目の前にいる。
「ジル。あなた、なぜフランシア子爵家に使いを出したのかしら」
「はあ」
そうとしか答えることができないジルベルト。
母は談話室のソファにゆったりと座り、グラスを傾けている。
「あそこには息子が三人と、娘が一人いたはずですが」
グラス傾けているだけだというのに、その仕草がものすごく圧を放っている。
「あそこは、代々第零騎士団に所属しているはずだが」
どうやら父親もいたらしい。母親のオーラで存在が薄くなっていた。それだけ今日の母親が纏っている空気が、重いということだ。元騎士団長である父親の威厳を全て母親が打ち負かしてしまっているかのように。いや、実際に父親は負けている。言葉を発さなければそこにいるかどうか、わからないくらいに。
その母親が目の前にいる。
「ジル。あなた、なぜフランシア子爵家に使いを出したのかしら」
「はあ」
そうとしか答えることができないジルベルト。
母は談話室のソファにゆったりと座り、グラスを傾けている。
「あそこには息子が三人と、娘が一人いたはずですが」
グラス傾けているだけだというのに、その仕草がものすごく圧を放っている。
「あそこは、代々第零騎士団に所属しているはずだが」
どうやら父親もいたらしい。母親のオーラで存在が薄くなっていた。それだけ今日の母親が纏っている空気が、重いということだ。元騎士団長である父親の威厳を全て母親が打ち負かしてしまっているかのように。いや、実際に父親は負けている。言葉を発さなければそこにいるかどうか、わからないくらいに。