堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

「エレン、相手は何人かわかるか？　だいたいの人数でいい」
　リガウン侯爵のそれに、エレオノーラは少し考えてから答える。
「はい。私たちを浚いにきた男は五人。一人が親玉です。それから、それ以外にこの屋敷で留守番をしていた男たちが少なくとも十五人程。ですが、もう少しいると思います」

「そのくらいなら、我々三人でなんとかなるか」

「ええ、そうですね。今回はこの秘密兵器も準備しましたので」
　フレディの言うところの秘密兵器が気になるところだが。

「さて、行くとするか」
　リガウン侯爵が先陣を切った。

「侵入者だ」
「人質が逃げたぞ」
　という怒号が響くのも時間の問題だった。
　目の前には五人程度の悪い人。と思ったら、後方からも彼らは五人程度でやってきた。