堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「エレン」
 他に第一騎士団のメンバーがいないことを確認してから、ジルベルトは妻の名を呼んだ。

「君が空から降ってきたときには、驚いた。まるで、女神が降り立つかのようだった」

「お義父さまとの訓練の賜物です」
 そう言ってエレオノーラはニッコリと微笑むつもりだった。だが、なぜか目の前が真っ白になる。

「エレン――」

 耳に残るのは愛する夫の声。
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