堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「酒の力でも借りるか?」
父親が言うと、執事のトムが黙ってグラスとウィスキーをテーブルの上に置いた。仕方ないので、ジルベルトはグラスで一杯、それを口に入れた。それはもう、勢いよく。喉元を焼けるような刺激が駆け抜けていくことで、なぜかわけのわからない自信が沸いた。
「先日の窃盗団摘発の件で。フランシア殿には世話になったため、礼に伺おうかと思っているところです」
酒の力を借りても、ジルベルトが言えた言葉はそれだけだった。肝心の言葉が出てこない。酒の力よりも母親の圧のほうが強いらしい。
「あそこには息子が三人と、娘が一人いたはずですが」
母親の口調は変わらない。
「あそこは、代々第零騎士団の所属」
微妙に助けにならない父親からの助け舟。
「つまり、第零騎士団に礼をしたいということか?」
やはりそれは全然助けになっていない。
「あ、はあ。まあ、そんなところです」
と助けにならない助け舟に乗ってしまったジルベルト。
父親が言うと、執事のトムが黙ってグラスとウィスキーをテーブルの上に置いた。仕方ないので、ジルベルトはグラスで一杯、それを口に入れた。それはもう、勢いよく。喉元を焼けるような刺激が駆け抜けていくことで、なぜかわけのわからない自信が沸いた。
「先日の窃盗団摘発の件で。フランシア殿には世話になったため、礼に伺おうかと思っているところです」
酒の力を借りても、ジルベルトが言えた言葉はそれだけだった。肝心の言葉が出てこない。酒の力よりも母親の圧のほうが強いらしい。
「あそこには息子が三人と、娘が一人いたはずですが」
母親の口調は変わらない。
「あそこは、代々第零騎士団の所属」
微妙に助けにならない父親からの助け舟。
「つまり、第零騎士団に礼をしたいということか?」
やはりそれは全然助けになっていない。
「あ、はあ。まあ、そんなところです」
と助けにならない助け舟に乗ってしまったジルベルト。