堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 ジルベルトのことだ。また、騎士団で一暴れしたに違いない。
「エレン、今、ジルがまた騎士団で暴れたって思ったでしょう?」

「もしかして、顔に出てましたか?」

「ええ、思いっきり」
 義母はエレオノーラを安心させるかのように静かに笑う。

「あなたのお兄さんたちが、ジルの代わりに引き受けてくれたらしいのよ。だから、心配しなくて大丈夫よ」
 それって、間違いなくジルベルトが暴れることを事前に防いだとしか思えない。

「それよりも、あなた。気が付いていたのかしら?」

「何を、ですか?」

「お腹」

「腹筋ですか?」

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