堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「まったく、団長は知らないかもしれませんが。このまま三十二まで独身でしたら危うく団長の座から引きずり落とされるところでしたよ。我が国では結婚も昇進の条件ですからね。このままでは私が団長の後を継いで、馬車馬の如く働くところでしたよ。本当にこのタイミングで婚約発表をされて、非常に助かりました。まあ、そのうち、団長が婚約者をお披露目してくれることを心待ちにしております。早かれ遅かれ、今まで団長がことごとく仕事を理由に断っていた社交界ですが、それには婚約者殿を連れての出席が求められますね。先に、陛下からの呼び出しがかかるかもしれませんね」
サニエラが一気に言葉を放ったのは、今までのジルベルトに対する不安の表れなのだろうか。それとも純粋にジルベルトを心配していたからなのだろうか。むしろ、サニエラ自身が自分の身を心配していただけだろう、とも思うジルベルト。
「そういうわけでして、この後、第零騎士団から呼び出しがかかっております」
眼鏡をキラリと光らせたサニエラが言う。
「何?」
ジルベルトは眉をピクリと動かした。
「約束の時間は十分後です。場所は、第零騎士団団長室」
「そういうことは早く言え」
サニエラが一気に言葉を放ったのは、今までのジルベルトに対する不安の表れなのだろうか。それとも純粋にジルベルトを心配していたからなのだろうか。むしろ、サニエラ自身が自分の身を心配していただけだろう、とも思うジルベルト。
「そういうわけでして、この後、第零騎士団から呼び出しがかかっております」
眼鏡をキラリと光らせたサニエラが言う。
「何?」
ジルベルトは眉をピクリと動かした。
「約束の時間は十分後です。場所は、第零騎士団団長室」
「そういうことは早く言え」