花笑ふ、消え惑ふ
だけど結局ふらりと倒れそうになった流を、とっさに後ろにいた総司が支えた。
「あんた、なにして……!」
────喧嘩しちゃだめです。
そう言おうとしたのに、笑顔はおろか、言葉を発することができなかった。
くわえて頭がぐわんぐわんと揺れるせいで思考が働かない。
「なが、な、ながれ……!」
永倉のあまりの狼狽えっぷりに流は逆に落ち着いてきた。
まるで酒なんて抜けてしまったかのように、青くなっている永倉。
井上の怒鳴る声が聞こえる。
平助と原田がこちらに駆け寄ってきている。
「大丈夫か!?」
誰かが流に対して投げかけた言葉に、流はこくりとうなずいた。
「だ──────」
大丈夫です、とすべて言い終わる前に。
ぐらり、世界が大きく歪んで。
流はそのまま昏倒した。