花笑ふ、消え惑ふ
確信は持てず、おそるおそる訊ねた流。
男はふっと笑って、流の目を手で覆った。
そして手を退けた次の瞬間、なんと男の顔が変わっていたではないか!
色白の肌に、闇を連想させる髪。
男は淡黄の猫目をにぃ、と弓なりに細めて笑った。
「だーいせーかい」
「声も変わった……」
それは以前、のっぺらぼうの下から現れた顔とおんなじだった。
だけど山崎曰くこれも本当の姿ではないらしい。
「癖なんだよねぇ。職業病ってやつ?」
「たしか……監察方、でしたっけ」
「そうそう。覚えてて偉い偉い」
頭を撫でくり回される。
響いて、ちょっと痛かった。
「いまはあんまり難しいこと考えないほうがいいから説明はまた今度。ね?」
────なんだかうまいこと躱されてる気がするのは気のせい?
またしても先延ばしになった山崎の正体。
もしかしたら暗躍とか諜報とか、そういう役職なのかもしれない。