花笑ふ、消え惑ふ


「えっ」

「あ?」

「え、えっ……い、忙しくないんですか?無理していなくてもいいんですよ……?」

「お前がいろっつったんだろ」

「そ、そうですけど……!」



────まさか本当にいてくれる、なんて。


予想外も予想外。

初めてこの部屋に押し込まれたとき、一緒に寝てほしいと流が言ったときの反応とはまったく違う。



────どうしよう、起きあがったほうがいい?


自分だけ寝そべっていることにまたしても罪悪感を覚えた流がそんなことを考えていたとき。



「べつに無理もしてねーよ。今日すべきことも、もう終わってる。バカとバカがバカが仕事を増やしてくれたが、それもついさっき終えた」

「え、あ……」


お疲れさまです、と間抜けな調子で言ってしまう。



「……あれ?最後のバカってわたしのことですか?」

「他に誰がいる」

「ええ…、バカ……バカ、で、ごめんなさい…」


ふたたび土方が目をほそめた。

今度のそれはどういう意味なのか、流にはわからなかった。


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