花笑ふ、消え惑ふ
「っ……、」
首に込められる力が増した。
流の視界がしだいにかすんでいく。
そんな視界に映る芹沢は、やっぱり流の目には怒っているようには見えなかった。
焦り。それに、恐怖。
流より何倍も大きな体躯を有している芹沢は、ずっと、なにかに怯えている。
────……そのときだった。
「……お主、」
するり、芹沢の手が解かれたのは。
自由になった身体が酸素を求めるようにふかく、深く息を吸う。
けほけほと咳きこむ流をぼうっと見つめながら、芹沢はぽつりとこう漏らした。
「どうしていま……笑ったのだ」