花笑ふ、消え惑ふ

ふたりだけの秘密




翌日も、そのまた翌日も。

いくら待てど芹沢がやってくることはなかった。


なんとなくそんな気がしていた流は、周りに芹沢のことを訊ねることもなく。

いつものように、ようやく慣れてきた女中の仕事をせっせとこなす日々が続いた。


このところ(けぶ)るような雨ばかりが空を支配している。




9月16日────





その日も朝からずっと雨が降りそそいでいた。


< 134 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop