花笑ふ、消え惑ふ
「……ごめんな」
「えっ?」
「頭、あのとき思いっきり殴っちまって」
その言葉に、頭の側面にそっと触れてみる。
押しても弾いても、もう痛くもなんともなかった。
「これは飛びだしたわたしが悪いですし……もう、何度も聞きましたから」
流は眉を下げて困ったように笑った。
これは何度目の謝罪だろう。
永倉は自分の処分も決まらぬうちに、流の元に飛んできていたのだ。
何度も謝られて、まだ寝ていた土方にうるさいと蹴り出されるまで頭を下げられた。
流は自分なんかに、そんなことをする必要はないと思っている。
寝ぼけたままつられるように謝っていたら、流も部屋の外に放り出されてしまった。
“土方さんって低血圧だよな”
“あはは、そうかも……”
そうして仲良く廊下に座りこんだふたりは、朝日を浴びて眩しげに空を見上げたのだった。