花笑ふ、消え惑ふ
「芹沢さんは天才だった。頭も切れる、剣の才能もある。……総司が気に入られてたのは、そういうことなんだよな。やっぱり、天才は天才にしか興味はないんだよ」
「────それはちがうと思います」
久しぶりに声を出したように感じた。
永倉がゆっくりと顔をあげる。
流はあわてて補足した。
「あ、えと…芹沢さんが天才なのも、総司さんが気に入られていたのも、その通りだと思います。だけど……天才は天才にしか興味ない、っていうのはその…ちがうと思います」
なんでお前にそんなことがわかるんだと、向けられる目が物語っていた。
もちろん流も憶測でものを言っているわけではない。
ちゃんとした根拠があり、芹沢の真意を知っているからこそ、永倉の発言に引っかかったのだ。
「だって芹沢さん、わたしに言ったんです」