花笑ふ、消え惑ふ


「くそ、あっちいな」

「鬼の肌にも汗」


ぎろりと睨まれる。

そんなことされたって今さら怯えたりしないのに。




「で、古高たちの計画は?ご公儀を皆殺しにして生首の腰みの作るとか?」

「惜しいな」


土方さん昔よくやってましたよね、バッタで、とその言葉はさらりと流され、伝えられた内容を一言でまとめると、こうだった。

御所に火をつけたあと混乱に乗じてお上(天皇)を連れ去る、と。




「全然惜しくないじゃないですか」

「ご公儀は皆殺しらしい」

「腰みのは?」

「余裕があればするんじゃねえの」


適当にあしらった土方さんは前髪をかきあげた。

鬱陶しいなら切ればいいのに。




「それで、どうするんですか」

「俺に二度手間かけさせる気か?」

「……はいはい、わかりましたよ。どうせあとからみんなの前で報告しますもんね」


それにしたって、わざわざ様子を見に来てあげた弟分に感謝の言葉はないのだろうか。

土方さんは報告まで少し眠ると言った。


じゃあぼくも帰ろう。

いつまでもこんな血生臭いところにいたくない。




「おい」

「人をそうやって呼ぶ癖そろそろ直したらどうですか」

「総司、お前、なんかあったか」

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