花笑ふ、消え惑ふ
感情的になってしまったことを反省するように土方は深く息を吐いた。
「……てめぇは罪人だろ。分をわきまえろ」
そうだ。本来ならわたしは殺されるはずだった、首の皮が繋がっていることさえ、わたしには奇跡なんだ、と。
なんだかいまさら首元がそわそわしてきた流は、手で覆い隠すようにする。
「土方さん」
そして、出ていこうとしたその後ろ姿に呼びかけた。
もうなにも聞く気はないのか、土方は振り返らなかった。
「あの、ありがとうございます……助けてくださって」
ぴたり、と。
一瞬だけ足が止まる。
だけど土方はなにも言うことなく、そのまま部屋を出ていった。