花笑ふ、消え惑ふ
それからは早かった。
突如として屯所内に響き渡った女の悲鳴。
真っ先に飛んできたのは、近くの道場で稽古をしていた隊士たちだった。
『女だ……』
『女がいる!』
『原田組長の女ですか?』
『そうそう~俺の女になった。いま』
『えっ、違います!なってません!』
女だ、女だとザワついていたところにようやく土方たちが現れた。
他の面々もそろっていたことから、解散したあとも流を除いてなにかを話していたらしい。
男──原田にタコの如く絡まれている流を見て、ある者は驚き、ある者は呆れ、ある者は同情した。