花笑ふ、消え惑ふ
上がってから、ふたたび会議が開かれた。
それもそのはず。流はもう男として振る舞えなくなったから。
隊士たち全員に女であることがバレてしまったいま、もう性別を偽ることもできない。
近藤は怒るでもなく、わははと笑った。
「元々無理があったんだ。可愛らしい顔立ちをしているから、どうやっても女に見えてしまう。バレるのも時間の問題だっただろうなぁ」
この人はなんて優しいんだろう、と。
流は自分の前に用意されたお膳に手をつけることもなく、近藤に感謝と申し訳なさが混じった瞳を向ける。
風呂から上がったあと、流は朝餉に呼ばれた。
一緒にいてもいいのか、と控えめに訊ねると、呼びに来た山南はめがねをしきりに触りながら
「うん……たぶん。近藤さんがきみも一緒に、って」
と小さな声で返されたあと、連れてこられたのはさっきの大広間だった。
そろっていたのは、幹部会で見た面々……と、原田。
「あ、いい湯だった~?つーかお嬢ちゃんが流だったんだな」
ひらりと何事もなかったかのように手を振る原田に、風呂でのことを思い出し思わず身を固くする流。
そんな流に「おいで」と声をかけてくれたのはまたしても総司だった。
原田とは対角線上のところに座っていた総司。
だから流を呼んでくれたのかもしれない。