花笑ふ、消え惑ふ
流はおそるおそる、土方の後ろ姿に声をかけることにした。
「あの、布団はここですか?」
「わかりきったこと聞くんじゃねぇ」
「……怒らなくても」
「あ?なんか言ったか?」
────なんでこんなに威圧的なんだろう、この人。やっぱりちょっと怖い。
流はこれ以上なにも言うまいと口を結び、押し入れからひと組の布団を取り出した。
それをいそいそと床に広げ、シワを伸ばしていく。
────よし、できた!
ぴしっと整えられた布団に、流は達成感をかんじながら息をついた。
そうしてそこに寝転がるでもなく、床に散らばっている物を拾っていく。
羽織やら、書類やら、よくわからないものがいっぱいだ。
ただ黙々と片付けをする流に、それまで我関せずといった様子だった土方もさすがに振りかえった。