花笑ふ、消え惑ふ
窓から入ってきた風が、無機質な花をあちらこちらへ転がす。
コロコロ、コロコロ……
「いいなぁ。流ちゃんが羨ましいよ」
コロコロ………ごろり。
もどかしさが塊となって、喉元までせりあがっている。
“羨ましい”
その言葉が小さな針のようにわたしの胸に刺さった。
「あはは、そんないいものでもないですよ」
「またまた。これで食ってるようなものでしょ」
人のいい笑みを浮かべるお客さんに、
わたしはぜんぶ、笑顔の裏に押し隠したのだった。