花笑ふ、消え惑ふ
「……流」
「あ、はい。ごめんなさい」
「大丈夫かい?今日はいつも以上にぼうっとしてるけど」
「ちょっと……」
「もしかして、溜まってる?」
わたしはすこし迷ったあと、こくりと小さくうなずいた。
旗本さんは同情するような顔をして、はやく行こうと促した。
降りていったのは……店の地下牢。
みな寝静まった宵闇のなか、ちいさなろうそくの灯りだけを頼りに地下へと降りていく。
一段また一段と降りていくたびにむわんとした臭気が全身を包みこむようだった。
そのうち見えてきた牢獄のなかには、何人もの女の人が閉じこめられていた。
そのなかにはつい先日、寝食を共にしていた子もいる。
向こうはわたしなんか、もはや視界にも入っていないようで。
ぶつぶつと呟きながら、石畳を爪で引っ掻いているばかり。
カリ、カリ、カリ……