花笑ふ、消え惑ふ
「さっさと終わらせてあげてほしい。こんなこと頼めるのは流しかいないんだ」
「はい」
「彼女たちを苦しみから救ってやってくれ」
「……はい」
わかっていた。
旗本さんははやく終わらせてほしいとも思ってる。
こんなことを頼めるのはわたししかいないとも思ってる。
だけど────彼女たちの苦しみは、わかっていない。
食い扶持を減らすためだけに、わたしはここに呼ばれた。
ここ、地下牢に集められているのは病気や怪我、年がいきすぎて使い物にならなくなった元遊女たち。
だけどただでさえ粗末な食事だ。ここにいる女の人たちはもっと粗悪な食事しか与えられていない。
だから衰弱するのは時間の問題。もうずっと前から同じ体勢の人だって何人もいた。
わたしがここに呼ばれた理由なんてひとつしかない。
「……なにをしている?はやくやってくれ」
彼女たちを花に変えて、処理の手間を省かせるため。
そしてまだ息のある者も、食い扶持を減らすために……
「ごめんなさい」