花笑ふ、消え惑ふ
わたしはどんどん、手を触れていった。
自分のなかに押し詰められていたものがなくなっていくような気がした。
だけど心は軽くならない。
ひとり、またひとりと消えていくたび。
ひとつ、またひとつと花が舞い散っていくたびに。
ドクンと大きく心臓が跳ねて、ずしりと石のように重くなっていった。
吐きそうだ。
吐いてしまいそう。
きっと、わからない。
わたしの手品、の、からくりを知っている数少ない人間である旗本さんにも。
この力を羨ましいと笑った馴染みのお客さんにも。
絶対に、誰にも────……この気持ちはわからない。
「卑怯者」
そのときだった。わたしの手を、誰かがつかんで止めた。