花笑ふ、消え惑ふ


数日前、隊士たちがほぼすべて出払ったときがあった。


どこに行ったのかはもちろん、ただの女中である流に知らされることはなかった。


しかし帰ってきた面子のなかには疲弊している者もいて。なにか、大きなことをしてきたのだろうと察しはついた。



翌日、みんなの前で近藤がこう告げた。



ここはもう壬生浪士組じゃなくなった、と。


その言葉だけを聞いてザワつかなかったのは幹部たちだけだった。もしかしたら事前に聞いていたのかもしれない。


邪魔にならないように部屋の隅っこで聞いていた流でさえ目をまん丸にさせたのだから。



近藤は場の空気を変えるのが上手い。


さっきまでの沈んだ表情は、わざとだったのだ。

急に、ぱっと花が咲くような満面の笑みになった。



先日の功績が認められたことで、壬生浪士組から名前を変えることになったんだ、と。


光栄なことを話す近藤の顔は、まるで子供のように輝いていた。


その、新しい名というのは……


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