花笑ふ、消え惑ふ
数日後、ふたりは壬生寺にいた。
本来ならこうあるべきだが、今日は芹沢の用事が長引いて遅くなってしまったから、特別である。
穏やかで博識な芹沢に、流はたいそう懐いていた。
芹沢も自分に懐いてくれる流が可愛くて仕方がないんだろう。自分の知っていることや、京の町について、質問すればなんでも教えてくれた。
────もしも父が生きていたら、こんな感じだったのかもしれない。
何度、そう思ったことか。
「芹沢さん、ご相談したいことがあるんですが……」
「相談?それは儂にか?」
「はい……ご迷惑でしょうか?」
すると目をぱちくりさせていた芹沢は、すぐにぱっと弾けるような笑顔を浮かべた。
この人はたまに子どものような顔をする。
なぜか永倉に似ているような気がした。