*again




「………あいつとは、もう何もない?」

「あいつ?って……」




ふと、脳裏に浮かんだのは既婚者のあの人。



「あっ、うん、あの日からは何も……」



その途端、

前を見ていた優と視線が交じりあう。


「………そう。なら良かった。」


優しく、ふわりと。


優しい目をして私に笑いかけた。



(あ───ダメだ、)



好きが、募る。


……溢れ出る。





「着いたね」



ポンッ、と。

肩を押されると、

屋根のある場所へと入れられた。



「………優?」



優もこの駅から帰るはず。


なのに、彼は傘を畳もうとはせず





「これからは、助けることできないから」



やめて



「今日でもう」



これ以上



「華とは会わない。」



私を



「じゃあね、華。


………幸せになって」



突き放さないで。

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