お兄ちゃんが好き
第1章 家族

出会い

 私は、この春から、高校2年生。16歳。
上原咲良。
 私が5歳の時、父が事故で死んだ。
 その後、母は、一人で私を育ててくれた。

 母は看護師で、働いている病院に勤めている医師の父と恋をしたようだ。
 10歳の時に、母は再婚したいと相談してくれた。
 私が、嫌ならしないとは言われたけど、私は特に気にしていなかった。
 こうして、家族が2人から4人になった。
 
 父も母も忙しい人だったが、休みの日は家族旅行に行ったり、公園で遊んでくれたり、勉強を教えてくれたり、
仲良しな家族だった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 兄は私の3歳年上。上原翔。19歳。   医者を目指していて、医大生。
 
 兄の母は、兄を妊娠した時に、癌があることが発覚した。
 医師である父に、子供をおろして、癌の治療をして欲しいと懇願されたが、兄の母は拒否し、自分の命と引き換えになっても兄を生みたいと、父にお願いしたそうだ。そして、兄を生んだ頃には、末期になっており、3か月後亡くなったそうだ。それから、父は忙しいため、実家に帰り、祖父母と暮らしていたとのことだった。

 再婚当時は13歳の中学生。
 思春期の時期だったが、私の母とも自然と話せていた。家族旅行や団らんもしてくれていた。
 私のことも妹として可愛がってくれていた。
 私が泣いていると、励ましてくれた。
 私が、喜んでいると一緒に喜んでくれた。
 私は、兄を慕っていた。
< 2 / 34 >

この作品をシェア

pagetop