お兄ちゃんが好き

兄への好き

 新学期が始まる前日、地元の公園に亮を呼び出した。

 亮は来てくれた。
「亮。話がある。」
「うん。」
「私のこと軽蔑すると思う。でも、私は自分の気持ちに嘘つけない。だから、ちゃんと話したいと思った。」

一呼吸おいて、話を続けた。
「私は、亮のこと好き。でも、それは、友達として。
 私は、恋愛感情としてお兄ちゃんが好き。家族として・・・だと思っていた。でも、違った。一緒に住んでた頃は、家が楽しくて、でも、居なくなってからは、寂しくてしかたなかった。でも、それを恋愛感情だと思ってなかった。会えた時、すごく嬉しくて、ドキドキもしてた。亮への好きとお兄ちゃんへの好きが違うこと、家族に対する好きとも違うことに気づいた。」

「そうなんだ。俺は気づいてたよ。
 咲良の好きな人は、翔くんだって。」
「え?」
「でも、咲良は気づいてなかった。俺が押せば、付き合ってくれると思った。だから、告白した。」
「・・・・」
「付き合ってくれた時は、嬉しかった。でも、文化祭・クリスマスイブ・正月。どんどん、咲良が遠くに行くように感じた。いつ切り出されるかと思ってたよ。だから、今日、呼ばれた時、ついに・・・って思った。」
「そうだったんだ。」
「うん。」
「ごめんなさい。苦しませたんだね。」
「苦しかった。でも、咲良といたかった。
 でも、大丈夫。咲良は、翔さんのとこに行きな。
 俺は、応援するよ。何かあったら、俺がいると思って。」
「ごめんなさい。ありがとう。」
「じゃあな。」
最後まで、亮は優しかった。
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