溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜
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毎年お祖父様の誕生日や会社に関するお祝い事に関してはラスベガスで盛大なパーティーが開かれるのが恒例行事だった。
お祖父様は昔からラスベガスが大好きで、中でもこのホテルが大のお気に入りだったらしい。
確かに一度ここに泊まると、並のホテルでは満足できないだろう。
そのホテル自体のクオリティもさることながら、館内には様々な国の料理を楽しめるレストランがいくつもあり、毎晩のように開催される舞台で目も耳も楽しめる。何よりもホテルの前で毎日行われる噴水ショーは何度見ても感動的だ。
そんな恒例行事に例年通り両親と共に足を運んだ私が、パーティー前にお祖父様に会いに行った際のことだ。
「紅葉ももう今年で二十四になるのか」
「はい」
ネイビーのロングドレス姿の私を見てしみじみと呟く声に、返事をした。
白髪を後ろに流したお祖父様は、七十七歳とは思えないほどに若々しく元気だ。
パーティー前からすでにシャンパングラスを手に持っており、上機嫌だった。
「仕事はどうだ?」
「先輩や上司の方も優しく、仕事にも慣れてきて毎日が充実しております」
「そうか。それは何よりだ」
嬉しそうにシャンパンを飲むお祖父様はしばらく私の仕事について聞いた後。
「それはそうと、紅葉の婚約者はもう決まってるのか?」
と思い出したかのようにお父様に視線を向ける。
私はそれに心臓がドクンと跳ねた。