溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜
「ははっ、震えてんの?」
「だ、って……いきなりするからっ」
「じゃあ、いきなりじゃなきゃいいんだ。……紅葉、キスしてもいい?」
「えっ」
返事をするよりも早く、再び重なった唇。
しかし先ほどと違うのは、触れるだけのものではなくて。
角度を変えて、何度も触れたり離れたりを繰り返す。
次第にぺろりと舐められたり、唇を吸われたり。
初めての感覚に私はされるがままで。
甘い刺激に、今度こそ全身が震えた。
「……口開けて」
響く低い声に、ビクリと肩が跳ねる。
その拍子にうっすらと口が開いてしまったらしく、それを見逃すまいとそこから熱い舌が入り込んできた。
「んっ……!?」
私の口内を確かめるようにゆっくりと這い回る。
歯列をなぞり、気が付けば私の舌を絡め取っていた。
ざらざらとした感触が絡み合い、お互いの唾液が混ざる。
「んぁっ……はぁっ」
キスの合間の呼吸の仕方がわからず、息が苦しくて優吾さんの胸を何度も叩くのに、彼は一向にやめてくれる気配は無い。
むしろ抱きしめる力も、私の後頭部に回った手の力も強くなっていって。
唇の端から唾液がこぼれ落ちる。
ようやく唇が離れた時、私は意識が朦朧としており優吾さんの胸に倒れ込んだ。
息が上がり、脳では今にも破裂してしまいそうな心臓の鼓動が爆音で響いている。肩で呼吸しないとすぐに意識を失って倒れてしまいそうだ。