溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜
「そういうところが可愛いんだよ」
優吾さんも笑いながら私の涙を優しく拭いてくれている。
私が求めていたのは、恋愛結婚ではなくて。
結局は、私自身を見てくれる人だったのではないだろうか。
加賀美家を抜きにしても、私を愛してくれる人を。
私自身を愛してくれる人を。
それは、この人なら叶えてくれるのではないだろうか。
それならば。
「優吾さん」
「ん?」
優しい声色に、勇気を振り絞る。
「私、この気持ちが恋なのか、まだよくわからなくて。でも、今すごく胸が苦しいのに、嬉しくて幸せで……。……だから私、優吾さんと恋愛してみたい」
私も、彼との未来に賭けてみてもいいのかな。
一歩踏み出してみても、いいのかな。
「……俺、一度手に入れたらもう手放すつもりないけど。いい?」
コクン、と頷く。
それは、私たちの始まりの合図。
首に腕を回すと、私の頭の下に手を敷いてくれて。
そのまま持ち上げられて、唇を重ねる。
段々と深くなるキスに必死についていく中、その優しい手のひらは頭の後ろから脱出し私の耳の中や首筋を這うように伝い、気が付けば服の上から胸の膨らみを愛撫する。
唇が離れたかと思うとすぐに首筋に顔を埋めるように舌が這い、空いた手が背中側のワンピースのファスナーを下ろした。
「ひゃっ……」
「っと、ごめん。冷たかった?」
「だ、いじょうぶ……」
そこから手が入り込んできて、背中を何度も優しく摩る。
ひんやりした手のひらはすぐに温まった。
プツリと下着のホックが外される感覚に驚きつつも、すぐにワンピースの袖から腕を抜かれて直接触れた手に身体が跳ねる。