溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜
「結婚式の日に、なんで初対面からあんなに口説いてくれたの?って聞いたの。そうしたらなんて言ったと思う?」
「……なんて?」
「"本当に好きだと思ったから、他の人に取られたくなかったんだ"って。"取られる前に口説いて自分のものにしたかったんだ"って。そう言われた時に、恋愛に時間なんて関係無くて、タイミングが大事なんだなって思った」
"恋愛に時間なんて関係無い。タイミングが大事"
優吾さんも、私に一目惚れしたと言っていた。
『俺だって、誰彼構わず口説くわけじゃない。紅葉にはもしかしたら軽い男に映ってるかもしれないけど、そうじゃないんだ。本当に好きだから、紅葉だから口説いてるんだ』
ラスベガスでの優吾さんの言葉を思い出す。
「紅葉も、ラスベガスで出会ったのが、その彼とのタイミングだったんじゃないかな」
「……タイミング」
「うん。運命ってやつ?……一目惚れする人だっているし、出会ってからの時間なんて関係無い。それで好きかもって思うのも何も変じゃないよ。だってときめいたでしょ?私はそれで本当に恋をして、結婚もして。今すっごく幸せだから」
女の私が見惚れるくらい美しく笑った優恵。
その表情からは本当に幸せが溢れ出ていて、見てるこちらまで幸せな気分になる。
思わずつられるように笑った私は、
「ありがとう優恵。私、やっぱり優吾さんのこと好きなんだと思う。優恵とおんなじ」
「うん。紅葉、今とってもキラキラしてて綺麗だよ。うまくいくといいね」
「ありがとう」
「ふふっ、それにしても、私たち昔から一緒にいすぎて双子みたいってよく言われてたけど、まさかこんなところまでそっくりだなんてねっ」
「本当ね。何かあるかわからないものだね」
笑いながら改めて乾杯をして、決意を胸にジョッキを口に傾けた。