溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜
「優吾さん、もしかしていつもこんな感じの食事なんですか?」
「え?うん」
「自炊とかは?」
「滅多にしないかな。長いことホテル暮らしだし、俺料理壊滅的だから」
「そうなんですね……」
やはり外食メインのよう。そもそも仕事で忙しすぎて食べてない日も多いのかもしれない。
栄養のあるものを食べるように言ったところで今の生活サイクルだと難しいだろう。
今度何かおかずを持ってこよう。
食べ終わった後、食器を片付け終えて優吾さんが淹れてくれたコーヒーを飲みながら、私はソファに座って膝をポンと叩いた。
「優吾さん、来てください」
「え?」
「お疲れのようなので、ここどうぞ」
「いいの?」
「はい。私は今日優吾さんの癒し担当なので」
遠慮がちに寝転んで私の膝に頭を乗せた優吾さん。
程よい重さに少し緊張するけれど、これも優吾さんを癒すためだ。
昨晩ずっと考えていた、優吾さんを癒す方法。
疲れているなら寝てもらいたい。でも優吾さんは私が起きているのに自分だけ寝るなんて嫌だと言うだろう。だから、膝枕で寝てもらおうという魂胆だ。
男の人は大体皆これが好きだって、優恵が言っていた。
思いの外優吾さんも緊張しているらしく、私のお腹に顔を押し付けるように横を向いた。
ぐりぐりとしてくる優吾さんの髪の毛をそっと撫でる。
少し赤くなった耳には気付かないふりをして、しばらくそうしていると。
次第に優吾さんの身体から力が抜け、寝息が聞こえてきた。