溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜
「……優吾さん」
「うん」
「……好きです」
ごくりと何かを飲み込む音がして。
ふわり。身体が再びムスクの香りに包まれた。
「紅葉」
「はい」
「もう一回」
「……好きです」
「もう一回」
「大好きです」
優吾さんの首筋に顔を埋める。
ドク、ドクと早く激しい鼓動が聞こえる。
それは私のものか、優吾さんのものか。はたまた両方か。
「紅葉」
「はい」
「俺も大好き」
今が何時かもわからない、そんな真夜中。
私たちはひっそりと気持ちを確認し合い、そして結ばれた。
「賭けは優吾さんの勝ちですね」
「言ったろ?必ず惚れさせるって」
「はい。まんまとその通りになりました」
抱き合いながら、そんな冗談を言い合って。
そしてゆっくりとキスを交わした。
お互いの気持ちが混ざりあったそのキスは、甘くて優しくてとても温かい。
唇が離れた時、そっとお互いの額を合わせてから小さく笑い合った。
そのまま朝まで、甘くとろけるような時間を過ごすのだった。