溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜
「それにしても、昨夜は膝枕のおかげかぐっすり眠れて気分が良いよ。ありがとう紅葉」
と嬉しい言葉をくれた。
休んでほしいと思っていたため、しっかりと眠れたようでどことなく顔色も良くなってきたような気がして一安心だ。
そのまま私を抱きしめるようにして胸の前で組まれた手。私の頭の上に優吾さんの顎がある。
「あー……癒される」
嬉しそうな声に、私も思わず顔が緩んだ。
今日は珍しく二人ともお休みだ。
しばらくベッドから起き上がることもせずに二人で会話しながらゆっくりしていた。
空腹を感じて起き上がった後は再びルームサービスで朝食を頼み、届くまでの間にシャワールームを借りる。やはり肌はボロボロだったものの、メイクを落としたら少しだけすっきりした。
一応お泊まりになる可能性も考えていたため着替えやスキンケアを持ってきたのが功を奏した。
念入りに化粧水を肌に浸透させていると、入れ替わるように優吾さんがシャワーに入る。
その後リビングに向かって届いた軽食を二人で食べ終えると、優吾さんは片付けをする私を後ろから抱きしめた。
「……優吾さん?」
「昨日の。俺の都合の良い夢じゃないよな?」
どこか不安そうな声に、身体の向きを変えて優吾さんの背中に腕を回した。
「夢じゃないです」
私の存在を確かめるように力強く抱きしめた優吾さんは、
「ありがとう。本当に嬉しい」
と小さい声で呟いた。