溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜
「うまそう。もう食べて良い?」
「もうちょっと待ってください。今お味噌汁よそいますから」
「ん。わかった」
ご飯とお味噌汁を並べると、上品に両手を合わせる優吾さんに倣って私も両手を合わせた。
「うまい!」
一口食べるごとにパッと顔を明るくして喜んでくれる姿を見て、私も自然と箸が進む。
あっという間に完食した優吾さんは、
「明日の朝はさっき買った魚がいいな」
と言いながら食器を下げて、さらには洗ってくれる。
「私やりますから。優吾さんはあっちで休んでてください」
「いいから。これくらいは俺にもできるからやらせて?」
「でも……」
「おいしい食事を作ってくれたお礼。ほら、紅葉のも洗っちゃうから貸して」
優吾さんは当たり前のように食器を全て洗って拭いてくれて、私はその拭いた食器を片付ける。
「こういうのは二人でやった方が早いしね」
「ですね。ありがとうございます」
「お礼を言うのはこっち。これから毎日こんなうまいもん食えるなんて、俺って幸せ者だな」
「大袈裟ですよ」
「大袈裟じゃないよ。それくらい紅葉の作ったものはうまいんだから」
「……嬉しいです」
食器洗いが終わった後にソファに腰掛けてテレビを見ている時。
そういえば、と思い出して両手をパン!と合わせた。