溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜
「そうだ優吾さん、再来週の金曜日は早めに帰ってきてくれますか?」
「再来週?」
「お誕生日なんですよね?ぜひお祝いしたくて」
「知ってたのか?」
「はい。優吾さんのお母様が教えてくださいました」
「あぁ、母さんか。わかった。なるべく早く仕事終わらせてくるよ。楽しみにしてる」
「はい!」
レストランで食事もいいけれど、せっかく新しい調理器具も買ってもらったし、お礼も兼ねて少し豪華な料理を作りたい。
シャンパンを買って、デザートも作って……。
フルコース、はちょっと無理だけど、お仕事で帰り時間が読めないからここでお祝いするのが一番良さそうだ。
何を作ろうか、プレゼントには何をあげようか。
考えているだけで私の方が楽しくて幸せな気持ちになった。
次の日の仕事帰りに優恵にも付き合ってもらってプレゼントを買い、レシピサイトを見ながら何を作ろうかをひたすら考えて。
そして当日。
周りの同僚たちが飲みに行こうと盛り上がっている中、私は一人で急いで自宅に戻り、優吾さんが帰ってくる前に食事の支度を進める。
キッチンを慌ただしく駆け回っていると、二十時頃に玄関のドアが開く音がした。