溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜



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「うわぁ……すごい、綺麗……」


「今回ここに泊まるのは俺たちと株主だけだ。ゆっくりして、後で感想を聞かせてくれると嬉しいよ」



新年度直前の三月下旬。


優吾さんが手掛けた新しいリゾートホテル、E.R YOKOHAMAのグランドオープンを目前に控えた今日、プレオープンと称して一部の関係者が特別に招かれた。


優吾さんの宣言通り私も招いてもらい、今日と明日で一泊予定だ。


横浜のホテルに宿泊になった理由は、都内から行きやすいのと単純にオープン日が一番早いこと。さらには海側に面しているためロケーションが抜群だと優吾さんがおすすめしてくれたからだ。



「本当は海外のホテルに招待できれば良かったんだけど、どうにもスケジュールの都合がつかなくて。ごめん」



優吾さんはそう謝るけれど、私から見ればここも想像を遥かに超えたラグジュアリーさで興奮が止まらない。


間接照明がシックな雰囲気を醸し出すロビー。


海外から取り寄せたという大理石の上を歩いていると、天窓から柔らかな光が差し込んでくる。


フロントのスタッフの方々の嫌味の感じない柔らかな笑顔が印象的で、とても快適な空間だった。


部屋はエグゼクティブスイートで、リビングの大きな窓の向こうは一面オーシャンビューという絶景。その絶景を楽しみながら浸かれるお風呂付きだ。まさにリゾートと呼ぶに相応しいもの。


私は部屋でのんびりしたりホテルの中を散策したり、優吾さんと一緒に外に出てみなとみらいにある大観覧車を眺めながら周辺を散歩してみたり。夜が近付いてくると、今にも夕陽が沈みそうに輝く海をぼんやりと眺めながら夕食の海鮮料理を楽しみ、久しぶりの穏やかな休日を全身で満喫した。


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